成長戦略としての退職金制度|種類・導入メリット・注意点を確認しよう
「退職金制度」は単なる福利厚生ではありません。従業員の定着や採用力強化、そして企業の成長を支える戦略的なツールです。本記事では、退職金制度の種類、導入メリット、注意点を網羅的に解説します。
目次
1,退職金制度とは?
退職金制度は、従業員の長年の功労に報い、退職後の生活を支える重要な制度です。企業の福利厚生の核となり、従業員のエンゲージメントと定着に大きく貢献します。ここでは、その定義と目的を解説します。

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定義と目的(従業員の功労報酬・定着対策)
退職金制度とは、従業員が企業を退職する際に、勤続年数や貢献度に応じて企業から支給される金銭のことです。その目的は多岐にわたり、単なる福利厚生に留まりません。
退職金制度の主な目的
✅従業員への功労報酬
- ・長年の企業への貢献に対する感謝と報奨。
- ・退職後の生活資金の支援。
✅従業員の定着対策
- ・勤続年数に応じた支給額増加で、長期勤続のインセンティブに。
- ・優秀な人材の離職防止とエンゲージメント向上。
- ・従業員に安定したキャリアパスと老後の安心を提供。
退職金制度は、企業の競争力向上にも繋がる戦略的なツールと言えます。
「退職金がある=福利厚生が充実している」という印象
現代の求職者にとって、退職金制度は「社員を大切にする会社」という印象を与える重要なアピールポイントです。これにより、企業は長期的なキャリア形成を支援する姿勢を示せます。
従業員は安心して働き、企業への信頼感や帰属意識が高まり、エンゲージメントや離職率の改善に繋がります。採用活動でも、他社との差別化になり、優秀な人材を獲得する上で大きな強みとなります。
このように、退職金制度は単なる福利厚生に留まらず、企業のブランドイメージ向上にも貢献する戦略的な施策です。
2,主な退職金制度の種類と特徴
退職金制度には、いくつかの種類があり、それぞれ仕組みや特徴が異なります。自社に最適な制度を選ぶためには、まず各制度の基本的な違いを理解することが不可欠です。ここでは主要な制度を紹介します。
退職一時金、確定給付企業年金(DB)、企業型確定拠出年金(企業型DC)、中退共など
退職金制度にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴が異なります。
- ・退職一時金
退職時に企業から従業員へ直接支払う制度。導入が比較的シンプルです。 - ・確定給付企業年金(DB)
企業が将来の給付額を約束する年金制度。運用リスクは企業が負います。 - ・企業型確定拠出年金(DC)
企業が掛金を拠出し、従業員自身が運用する年金制度。運用リスクは従業員が負います。 - ・中小企業退職金共済(中退共)
国が運営する中小企業向けの外部積立制度です。
これらの制度は、運用リスクの負担者や仕組みが異なるため、自社に最適な制度を選ぶには、それぞれの違いを理解することが重要です。
それぞれの仕組みと違いをコンパクトに解説
制度名 | 仕組み | 運用リスク | 特徴・備考 |
---|---|---|---|
退職一時金 | 退職時に一時金として企業が直接支払い | 企業 | ・企業の就業規則に基づき支給 ・導入が比較的シンプル |
確定給付企業年金 (DB) | ・将来の給付額を企業が約束 ・年金または一時金で受け取る | 企業 | 従業員は安定した給付を受けられる |
企業型確定拠出年金 (DC) | ・企業が掛金を拠出、従業員が運用 ・運用結果で給付額が変動 | 従業員 | 従業員自身が運用方法を選択 |
中小企業退職金共済 (中退共) | 企業が掛金を払い込み、退職時に共済から支払い | 共済(国) | ・国の制度で中小企業向け ・掛金の一部助成あり |
これらの制度は、「誰が運用リスクを負担するか」という点で大きく分類できます。企業がリスクを負う制度は従業員に安心感を与えますが、財務上の負担や管理の手間が発生します。一方、従業員がリスクを負う制度は、企業負担が限定されるメリットがありますが、従業員には運用知識や自己責任が求められます。

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3,退職金制度の導入メリット
退職金制度は、企業の福利厚生を充実させるだけでなく、経営戦略の一環としても多くのメリットをもたらします。ここでは、企業にとっての具体的なメリットを解説します。
従業員満足・定着率の向上
退職金制度は、従業員の満足度と定着率を大きく向上させる効果があります。
✅従業員満足・定着率が向上する理由
- ・企業への信頼感・帰属意識の醸成
長年の貢献が金銭で報われることで、「社員を大切にする会社」という実感が生まれ、企業への信頼が高まります。 - ・長期勤続へのモチベーション向上
勤続年数が長くなるほど支給額が増える制度設計は、従業員が長期的に働く強力な動機付けになります。 - ・離職防止と人材確保
将来の安心感が得られるため、優秀な人材の離職を防ぎます。また、採用活動においても他社との差別化につながり、人材確保に有利に働きます。
このように、退職金制度は従業員のエンゲージメントを高め、安定した企業運営に貢献します。
採用力の強化、節税効果など
退職金制度は、企業の競争力を高める上で重要なメリットを複数持っています。
✅退職金制度導入の主なメリット
- ・採用力の強化
求人票で他社との差別化を図る強力な武器となります。特に、優秀な人材を獲得したい中小企業にとって、大きな魅力として機能します。 - ・節税効果
企業が拠出する掛金は損金として計上でき、法人税の負担を軽減します。また、従業員も退職金受け取り時に税制優遇を受けられるため、企業・従業員双方にメリットがあります。 - ・企業の財務戦略
計画的な資金準備が可能になり、経営の安定化に貢献します。
このように、退職金制度は人材確保から財務管理まで、企業経営に多岐にわたる恩恵をもたらします。
4,導入時の注意点とリスク
退職金制度は多くのメリットをもたらしますが、導入には慎重な検討が必要です。予期せぬトラブルや将来の負担を避けるため、注意すべき点と潜在的なリスクを事前に把握しておきましょう。
社内規定の整備
退職金制度導入の第一歩は、就業規則や退職金規程の整備です。支給対象者、計算方法、支給時期などを明確に定めることで、従業員は安心して制度を利用でき、企業は将来のトラブルを防ぐことができます。
規程に不備があると、計算方法の不明確さから従業員との間で誤解や不満が生じたり、退職金の支払いを巡る法的紛争に発展するリスクがあります。
退職金制度は従業員の重要な権利に関わるため、専門知識が必要です。自社だけで整備が難しい場合は、社会保険労務士などの専門家に相談し、法的に有効かつ公平な規程を作成することが不可欠です。
財務負担や長期的な運用リスクの有無
退職金制度の導入には、企業の財務状況に合わせた慎重な検討が不可欠です。退職一時金や確定給付企業年金(DB)のように企業が給付額を約束する制度では、計画的な積立が必要です。これを怠ると、将来の支払いが経営を圧迫するリスクがあります。
積立型の制度では、運用環境の変動で積立不足が生じる可能性があり、特にDB制度はそのリスクを企業が負います。想定通りの運用益が得られない場合、追加拠出が必要になることもあります。
一方、企業型確定拠出年金(DC)は従業員が運用リスクを負うため、企業側の財務負担は限定的ですが、従業員への十分な教育や情報提供が求められます。
制度変更時の従業員への説明義務
退職金制度は、一度導入すれば終わりではなく、経営状況に応じて見直しが必要になる場合があります。特に、従業員にとって不利益となる変更を行う際は、労働契約法に基づき、企業には従業員への十分な説明と、合意を得る努力が求められます。
単に就業規則を変更しただけでは、無効と判断されるリスクもあります。
制度の変更は、従業員のモチベーションや企業への信頼に直結するデリケートな問題です。変更の理由を明確にし、その内容や代替措置などを丁寧に説明することが不可欠です。円滑な変更のためには、従業員代表との協議や、変更に至る背景の共有など、双方向のコミュニケーションを重視する姿勢が大切です。
5,まとめ〜自社に合った制度設計を検討しよう
退職金制度は、企業の成長と従業員の安心を両立させるための重要なツールです。導入や見直しには専門知識が必要なため、自社の状況に合った最適な制度設計を慎重に検討しましょう。
専門家への相談も効果的
退職金制度は、企業の経営状況や従業員の働き方、法改正に影響される複雑な制度です。そのため、自社だけで進めるのが難しいと感じたら、専門家の力を借りるのが最も効果的です。
人事・労務コンサルティングを手掛ける株式会社ステラパートナーは、心強い味方となります。企業の現状に合わせた最適な制度設計から、規程作成、従業員への説明までを一貫してサポートするため、担当者の負担が少なく、安心して任せることができます。
また、従業員の福利厚生と企業側の負担軽減を両立させる独自のサービスを提供しており、法的なリスクを回避しつつ、財務状況に合った最適な制度を構築できます。
専門家の力を借りることで、公平で納得感のある退職金制度を円滑に導入し、企業の持続的な成長に繋げることが可能です。
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退職金制度のリスクや変更の難しさを考えると、「YUKINつみたてDBプラン(選択制DB)」がおすすめです。

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項目 | YUKINつみたてDBプラン |
---|---|
従業員満足・定着率の向上 | 従業員が自ら拠出を選択できるため、納得感が高く、定着率向上に繋がります。 |
採用力の強化・節税効果 | 魅力的な福利厚生として採用力を強化できます。企業拠出分が損金算入でき、社会保険料の負担軽減も期待できます。 |
社内規定の整備 | 株式会社ステラパートナーが規程の作成をサポートするため、法的なリスクを回避できます。 |
運用リスク | 企業が運用リスクを負いますが、退職金の原資は外部で管理されるため安心です。 |
従業員への説明 | 株式会社ステラパートナーが説明会や資料作成をサポートするため、円滑な導入が可能です。 |

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よくあるご質問
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退職金制度は、すべての企業に導入義務がありますか?
いいえ、法律上の義務はありません。退職金制度の導入は、企業の経営判断と就業規則に基づきます。しかし、導入することで、従業員の定着や採用力の強化など、多くのメリットが期待できます。
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制度を導入したいのですが、費用面が心配です。
退職金の原資は経費として損金に算入できるため、節税効果が期待できます。また、従業員が拠出を選択できる「YUKINつみたてDBプラン」のような制度を選ぶことで、企業の財務負担を抑えることも可能です。
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退職金制度のルールは、後から変更できますか?
可能です。しかし、従業員にとって不利益となる変更を行う場合は、その必要性や内容を丁寧に説明し、従業員の理解と合意を得る努力が法律上求められます。安易な変更はトラブルの原因となるため、専門家への相談が不可欠です。
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どのような制度が自社に合っているかわかりません。
退職金制度には様々な種類があり、それぞれ仕組みや特徴が異なります。自社の経営状況や将来のビジョンに合わせて最適な制度を選ぶ必要があるため、社会保険労務士などの専門家に相談し、法的なリスクも踏まえた上で検討することが最も確実な方法です。