福利厚生ランキング|企業規模・業界別の導入傾向と最新トレンド
福利厚生の充実は、企業の競争力向上や従業員の定着率向上に不可欠です。
本記事では、最新の福利厚生の動向について、確認すべきポイントについて紹介します。
目次
1 福利厚生制度の基本と重要性
福利厚生制度は従業員の生活の質を向上させ、企業の魅力を高める重要な要素です。
福利厚生とは?法定外福利厚生の種類と基本知識
福利厚生とは、従業員の生活を支え、働きやすい環境を提供する制度です。法定福利厚生には社会保険や労働保険が含まれ、従業員の生活の安定を保障します。
一方、法定外福利厚生は企業が独自に導入する制度で、以下のようなものが挙げられます。
住宅関連 | 家賃補助、社宅制度 |
食事関連 | 社員食堂、食事手当 |
健康関連 | 人間ドック補助、ジム利用補助 |
休暇関連 | リフレッシュ休暇、慶弔休暇 |
育児介護関連 | 託児所、時短勤務 |
慶弔見舞関連 | 結婚・出産祝金 |
財産形成関連 | 退職金制度、財形貯蓄、持株会 |
自己啓発関連 | 資格取得支援 |
余暇関連 | 社員旅行、レジャー割引 |
働き方関連 | テレワーク、フレックス |
これらの法定外福利厚生の拡充は、従業員の働きがいを向上させるだけではありません。
企業の競争力を高める要因となり得るため、戦略的な導入が求められています。
採用競争が激化する時代に福利厚生が注目される理由
近年、企業の採用競争は激化し、優秀な人材を確保するための施策が求められています。
福利厚生が注目される背景としては次のとおりです。
価値観の多様化 | 特にミレニアル世代やZ世代といった若い世代でこの傾向が顕著です。 |
労働力人口の減少と人材獲得競争の激化 | 多くの産業で人手不足が深刻化しています。企業は限られた人材を確保するため、給与だけでなく、働きがいや働きやすさを提供する必要に迫られています。 |
働き方改革の推進と意識の変化 | 従業員がより健康で、能力を発揮しやすい環境を企業が提供することへの期待が高まっています。 |
従業員エンゲージメントと生産性への影響 | エンゲージメントの高い従業員は、モチベーションが高く、生産性も向上する傾向があるため、企業業績にも良い影響を与えると考えられています。 |
企業イメージとブランディング | 「従業員を大切にする会社」というイメージは、求職者だけでなく、顧客や取引先、投資家からの評価にも繋がります。福利厚生の充実は、企業の社会的責任(CSR)の一環としても認識され、企業ブランドの向上に貢献します。 |
福利厚生が企業選びに与える影響
福利厚生は、求職者の意思決定に大きな影響を与えます。給与や仕事内容だけでなく、働きやすさや企業文化を測る重要な指標です。
特に休暇制度、家賃補助や健康支援などは、生活の安定に直結するため、重視されます。また、研修制度や資格取得支援は、企業が従業員の成長に投資する姿勢の現れと捉えられます。
魅力的な福利厚生は、従業員の満足度や定着率を高め、企業イメージの向上にも貢献します。
結果として、福利厚生は企業の持続的な成長を支える重要な要素となるのです。
2 【2025年最新】従業員満足度の高い福利厚生ランキングTOP10
従業員満足度の高い福利厚生を人気の高いものをランキング形式でご紹介します。
なお、調査機関等によって、順位や項目は変動する可能性があるため、あくまで一般的な傾向として参考にしてください。
1位 住宅手当・家賃補助|導入効果と最新支給相場
住居費は、生活費の中でも大きな割合を占めます。住宅手当は従業員の経済的負担を軽減し、生活の安定に直結するため、常に高い人気があります。特に若手社員や都市部で働く従業員からのニーズが高い傾向にあります。
支給相場は、1万円~2万円程度です。
「令和2年就労条件総合調査」によると、「住宅手当など」の平均支給額は17,800円です。また、企業規模に応じて支給額に差があるようです。
企業規模(従業員数) | 「住宅手当など」の額 |
---|---|
1,000人以上 | 21,300円 |
300~999人 | 17,000円 |
100~299人 | 16,400円 |
30~99人 | 14,200円 |
計 | 17,800円 |
厚生労働省 令和2年就労条件総合調査
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/20/index.html
2位 特別休暇制度|休暇使用目的の多様化
特別休暇・リフレッシュ休暇は、従業員の働きやすさを向上させる重要な福利厚生の一つです。一般的な有給休暇に加え、企業が独自に導入する休暇制度は、長期的なモチベーション維持や生産性向上に寄与します。
最近のトレンド・事例
●ウェルビーイング休暇:理由を問わず、心身の不調時やリフレッシュのために取得できる休暇
●ライフサポート休暇:不妊治療、ペットの忌引きや看病など多様なライフイベントに対応する休暇
●アニバーサリー休暇:自身の誕生日だけでなく、家族の誕生日や結婚記念日などに対応する休暇
●社会貢献、学びなおし休暇:ボランティアやSDGs関連活動、リスキリングのための休暇
●推し活、趣味休暇:イベント参加や趣味の活動など、プライベートの充実を支援する休暇
3位 食事補助・社員食堂|健康増進と経済的支援
食事補助や社員食堂は、日常的に従業員の満足度を高める重要な福利厚生の一つです。栄養バランスの取れた食事の提供は、健康維持だけでなく、業務効率の向上やコミュニケーションの活性化に寄与します。また、毎日のランチ代等の経済的負担の軽減にもつながり、従業員の満足度向上に繋がります。
最近のトレンド・事例
●ヘルシーメニューを充実をさせ、健康増進を図る
●キャッシュレス決裁への対応
●外部サービス(食事関係の福利厚生サービス)との連携
●食堂の多目的化:コミュニケーションやリフレッシュの場へ
●サステナビリティ:フードロス削減、環境配慮型食材の利用
4位 健康診断・人間ドック補助|健康管理と生産性向上
健康診断・医療サポートは、企業の健康経営推進と密接に関係する福利厚生の一つです。従業員の健康維持は、生産性向上や離職率低下につながり、企業の長期的な成長を支える要素となります。
最近のトレンド・事例
●若年層からの人間ドック補助生活習慣病への意識向上
●女性特有の検診乳がん検診、子宮頸がん検診など
●メンタルヘルスチェックと合わせた総合的な健康サポート
●健康診断の結果のデータ分析、有所見者への再検査勧奨や保健指導管理
5位 フレックスタイム制度・リモートワーク制度|多様な働き方へ対応
時間や場所に縛られない柔軟な働き方を支援する制度は、通勤時間の削減や育児・介護との両立を可能にし、多様な働き方を求める現代のニーズに合致しています。
最近のトレンド・事例
●スーパーフレックス:コアタイムを設けないフレックスタイム制度
●月間総労働時間制の活用:1日単位ではなく、月単位の総労働時間を管理し柔軟化
●ハイブリッドワークの最適化:オフィス出社とリモートワークを組み合わせるルールの整備
●ワーケーション制度:リゾート地などオフィス以外の場所で休暇を兼ねて働くことができる
6位 慶弔見舞金制度|企業の安心感、信頼性向上
慶弔見舞金や災害補償は、企業が従業員の生活を支える基本的な福利厚生制度の一つです。結婚・出産・弔慰金の支給や、自然災害時の補償制度などが含まれ、従業員の安心感を高める役割を果たします。
最近では、災害時の特別手当や支援金の拡充が進んでおり、緊急時の対応力が企業の信頼性向上につながる重要な要素となっています。
7位 退職金制度・企業年金制度|長期的な資産形成支援
退職金制度・企業年金制度は、従業員の長期的な安心を支える福利厚生の一つです。給与天引きによる貯蓄制度や企業が支給する退職金は、将来の経済的安定を確保し、定着率の向上に貢献します。
企業型確定拠出年金(DC)や確定給付企業年金(DB)などは、従業員のライフプラン支援に役立ち、企業競争力向上のためにも重要な施策です。
これまで、中小企業では企業年金制度の導入はコスト面・運用面で難しく、なかなか国内の普及率が伸びない傾向にありました。
しかし近年では、「YUKINつみたてDBプラン」のような選択制退職金制度も登場し、徐々に中小企業や個人事業主の元で働く従業員にも企業年金制度に加入できる機会が広まっています。

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8位 スキルアップ支援|キャリア成長を支援する福利厚生
自己啓発・資格取得支援制度は、従業員のスキル向上を促し、企業の競争力強化につながる重要な福利厚生の一つです。研修費用補助、資格取得支援、社内学習プログラムの提供など、キャリア成長を支援する制度が注目されています。
最近のトレンド・事例
●リスキリング特化:DX等、変化対応のための新スキル習得を支援
●オンライン個別学習:時間や場所を選ばない多様なeラーニングの提供
●資格取得の奨励:幅広い資格への費用補助、合格時のインセンティブ支給
●越境学習・社外経験の推進:副業や社外活動を通じた実践スキル獲得の支援
9位 通勤手当|基本的かつ重要な福利厚生
通勤手当は法定外福利厚生ですが、従業員の経済的負担を直接軽減するため、基本的な福利厚生でありつつも、非常に重要な制度です。
従業員にとって「あって当たり前」と見なされることが多く、採用時の企業選びや従業員の定着においても影響が大きい要素です。通勤手当がない場合には不満に繋がりやすいため、注意が必要です。
10位 旅行・レジャー施設の割引優待|長期的な従業員定着を促進する仕組み
旅行・レジャー優待は、従業員のモチベーション向上やエンゲージメント強化に貢献する福利厚生制度の一つです。企業が提携する宿泊施設やレジャー施設の割引、旅行補助などを提供することで、リフレッシュの機会を増やし、仕事への意欲を高める効果があります。
最近のトレンド・事例
●カフェテリアプラン:従業員に付与されたポイント内で、様々な施設に利用できる制度
●長期勤続者への旅行支援:特別休暇と一定の旅行代金を支給し従業員の長期貢献に報いる制度
●福利厚生パッケージの導入:外部委託サービス。様々な提携施設を割引価格で利用可能
3 女性人材の獲得・定着に効果的な福利厚生ランキング
女性人材の獲得・定着には、育児・介護支援、柔軟な働き方、健康管理などの福利厚生が重要です。特に、産休・育休制度の充実やキャリア支援が評価される傾向にあります。
1位 育児支援と両立制度|産休後の復帰率を高める具体策
女性人材の獲得と産休後の復帰率向上のためには、育児と仕事の両立を支援する制度の充実が不可欠です。具体的な施策としては、次のようなものが挙げられます。
●柔軟な勤務制度の導入
・短時間勤務制度
・フレックスタイム制度
・在宅勤務、リモートワーク制度
●経済的支援の拡充
・育児休業給付金の上乗せ
・保育料補助制度
・出産祝い金等の支給
●職場環境の整備
・保育施設、授乳室、休憩室等の設置
●相談体制の充実
・育児相談窓口の設置
・復帰後面談、キャリアプラン相談の実施
●社内理解の促進
・育児休業制度の周知徹底
・育児と仕事の両立に関する研修の実施
これらの施策を企業の状況に合わせて組み合わせ、継続的に実施していくことは、女性人材の獲得だけでなく、活躍の推進につながります。
2位 女性特有の健康支援|婦人科検診・健康相談の導入事例
女性特有の健康支援は、従業員の健康維持と働きやすさを向上させる上で重要な施策です。企業が提供する婦人科検診や健康相談は、早期の健康管理を促し、安心して働ける環境を整えます。
乳がん検診の補助やホルモンバランス調整に関する専門相談の導入が進み、健康経営の一環として注目されています。
最近のトレンド・事例
●婦人科検診の費用全額補助・検診休暇:乳がん・子宮頸がん等の定期検診費用を企業が負担し、受診しやすいよう特別休暇を付与
●月経困難症・更年期症状へのケア支援:低用量ピル費用補助、オンライン相談サービスの導入
●不妊治療と仕事の両立サポート:治療費用の一部補助、通院や体調不良時のための特別休暇制度
●産後ケアプログラムの提供:産後うつ予防のためのカウンセリング補助、骨盤ケアや育児相談など産後ケアサービスの利用補助
3位 キャリア形成支援|魅力的な企業イメージの醸成
キャリアアップやスキルアップを積極的に支援する企業は、成長意欲のある女性にとって非常に魅力的です。また、キャリア形成支援を通じて成長を実感できる環境は、社員のエンゲージメントを高め、定着率の向上に繋がります。
キャリア形成支援のポイントとしては、次のとおりです。
●スキルアップ支援:専門研修の実施、資格取得の奨励
●キャリア意識の醸成:キャリアデザイン研修の提供、メンター制度による相談機会の創出
●リーダー育成と機会提供:女性リーダー育成プログラムの実施、公平な評価と積極的な登用
●両立しやすい環境整備:柔軟な働き方の推進、育休後のスムーズな復職支援。
本人の希望と能力に応じた成長機会の提供、ライフイベントと両立できる柔軟な制度、そして公平な評価と登用を通じて、主体的なキャリア構築を促すことが重要です。
4 福利厚生に注力する企業3選
福利厚生に注力する企業は、従業員満足度や定着率の向上に貢献しています。福利厚生が充実していると評価の高い企業の具体例をご紹介します。
トヨタ自動車株式会社
日本を代表する製造業であるトヨタ自動車は、従業員と家族の生活を支えるための多岐にわたる福利厚生制度を整備されています。伝統的に手厚い福利厚生制度が特徴です。
両立支援制度
育児休職、育児のための短時間勤務
在宅勤務制度社内託児施設(一部事業所)
介護休職、介護のための短時間勤務制度
休暇制度
年次有給休暇(連続取得推奨「3Days Vacation」
リフレッシュ休暇
自己啓発等による休職制度
資産形成サポート
財形貯蓄制度
トヨタグループ従業員持株会
選択型確定拠出年金
住宅関連サポート
独身寮・社宅
住宅購入・リフォームのための融資制度
その他
社内イベント
選択型福利厚生制度「WELBOX」
各種クラブ活動
保養所
トヨタ自動車株式会社 福利厚生サイト
https://www.toyota-recruit.com/career/environment/benefits/
GMOインターネットグループ株式会社
GMOインターネットグループ株式会社は、ドメイン・サーバー等のネットインフラ事業を核とした総合インターネット企業ですが、非常に充実した福利厚生制度を設けています。
コミュニケーションスペース(食事・イベント支援)
●シナジーカフェ GMO Yours:24時間365日利用可能なコミュニケーションスペース。食事(ランチ、ディナー、軽食など)やドリンクを無料で提供
育児支援
●社内託児所 キッズルーム GMO Bears:事業所内託児所。専門スタッフによる保育、知育・英語プログラムなども提供
リフレッシュ施設
●マッサージルーム GMO BaliRelax:プロのセラピストによるボディケアサービスを提供
●お昼寝スペース GMO Siesta:短時間の休息や仮眠が取れる個室ベッドを完備
休暇制度
●完全週休2日制(土日)、祝日
●年次有給休暇
●夏期休暇、年末年始休暇
●慶弔休暇
●産前産後休暇、育児休業、介護休業
●子の看護休暇、介護休暇
●リフレッシュ休暇(勤続年数に応じた表彰と休暇)
各種保険・資産形成サポート
●社会保険完備(健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険)
●確定拠出年金制度(DC)
●従業員持株会
●財形貯蓄制度
諸手当・ライフサポート
●通勤手当
●時間外勤務手当、深夜勤務手当、休日勤務手当
●育児・介護のための短時間勤務制度
●慶弔見舞金
●定期健康診断、インフルエンザ予防接種費用補助
成長支援制度
●新卒研修、OJT制度
●階層別研修、各種スキルアップ研修
●資格取得奨励金制度
●書籍購入費用補助、外部セミナー参加費用補助
●社内公募制度(キャリアステップ支援)
その他
●社員紹介制度
●各種社内イベント(運動会、社員総会、ファミリーデーなど)
●GMOインターネットグループ健康保険組合による各種給付・サービス
GMOインターネット株式会社 待遇・福利厚生サイト
https://recruit.gmo.jp/welfare/
株式会社ZOZO
株式会社ZOZOは、国内最大級のファッションECサイト「ZOZOTOWN」を運営する企業です。様々な福利厚生を提供しており、非常にユニークな制度もあります。
日々進歩手当
自己成長を目的に支給される手当。支給額は、在籍期間が半年経過するごとに2,500円ずつ増額し、最大で月10万円を支給。
住宅リモート手当
全社員を対象に、毎月一律5万円を支給
ZOZOコネ
オフィスや物流拠点の周辺の飲食店などで使える優待制度
職務発明制度
特許等を取得した発明やデザインに携わった社員に対し、報奨金を支給
ソウゾウのナナメウエAWARD
ソウゾウのナナメウエな発想や取り組みを社内で募集しMVPを決定、表彰および賞品授与を行う
株式会社ZOZO 働き方・福利厚生・制度ページ
https://corp.zozo.com/recruit/welfare/
5 企業規模・業界別の福利厚生導入傾向分析
企業規模や業界によって福利厚生の導入傾向は異なります。
大企業は住宅手当や健康支援が充実し、中小企業は柔軟な勤務制度を重視する傾向があります。業界別では、IT業界はリモートワーク制度が普及し、製造業は安全管理支援が強化されています。
大手企業の福利厚生戦略|コスト最適化と効果最大化の両立
大手企業は、福利厚生のコスト最適化と効果最大化を両立するため、戦略的な制度設計を進めています。従業員の多様なニーズに対応しつつ、企業の競争力を強化するため、データ分析を活用した福利厚生ポートフォリオの最適化が重要視されています。
例えば、住宅手当や健康支援を充実させる一方で、利用率の低い制度を見直し、予算の効率的な配分を行う企業が増えています。
また、カフェテリアプランの導入により、従業員が自身のライフスタイルに合った福利厚生を選択できる仕組みを整える動きも活発です。福利厚生の戦略的運用は、従業員満足度の向上と企業の持続的成長を支える重要な要素となっています。
中小企業における創意工夫|予算制約下での効果的な福利厚生設計
中小企業における福利厚生の設計は、限られた予算の中で従業員満足度を向上させる工夫が求められます。大企業のような高額な制度導入が難しい一方で、柔軟な勤務制度や健康支援、社内イベントの活用など、低コストで効果的な施策が注目されています。
例えば、フレックスタイムやリモートワークの導入は、従業員のワークライフバランスを改善し、定着率向上に貢献します。また、食事補助やメンタルヘルスケアの提供は、従業員の健康維持に役立ちます。
さらに、福利厚生のデジタル化を活用し、外部サービスと連携することで、コストを抑えつつ多様な選択肢を提供する企業も増えています。予算制約の中でも、創意工夫を凝らした福利厚生の導入が、企業の競争力強化につながるのです。
業界別比較|IT・製造・小売・サービス業の福利厚生特性
福利厚生の導入傾向は業界ごとに異なり、企業の特性や従業員のニーズに応じた制度が整備されています。
IT業界では、リモートワークやスキルアップ支援が充実し、柔軟な働き方が重視されています。
製造業では、安全管理や健康支援が福利厚生の中心となり、作業環境の改善が進められています。
小売業では、従業員割引やシフト調整の柔軟性が求められ、長時間労働の負担軽減が課題です。
サービス業では、メンタルヘルスケアやキャリア支援が重要視され、従業員の定着率向上に貢献しています。
各業界の特性に合わせた福利厚生の導入が、企業の競争力強化につながっています。
6 企業と従業員の双方が Win-Win となる福利厚生設計
企業と従業員の双方がWin-Winとなる福利厚生設計には、柔軟な勤務制度、健康支援、キャリア成長の機会が不可欠です。従業員の満足度を高めつつ、企業の生産性向上にも貢献する制度設計のポイントを解説します。
人材戦略の要|福利厚生を企業選びの重要指標として活用する方法
福利厚生は、単なるコストではなく、企業の価値観や従業員への姿勢を映し出す鏡であり、求職者にとって企業選びの重要な判断材料となります。これを人材戦略として効果的に活用するには、以下の点が重要です。
1. 企業理念・バリューとの一貫性を明確に打ち出す
福利厚生が企業の目指す姿や大切にする価値観(例:成長、健康、多様性、社会貢献など)を具体的に体現していることを示します。これにより、理念に共感する人材の獲得に繋がります。
※例 イノベーションを重視する企業であれば、自己啓発支援や創造性を刺激するオフィス環境の整備を福利厚生としてアピールする。
2. ターゲット人材に響く制度設計と情報発信
獲得したい人材層(新卒、専門職、子育て世代など)のニーズを分析し、魅力的に映る福利厚生を戦略的に設計・導入します。
採用サイトや説明会では、制度の概要だけでなく、利用シーンや社員の声を通じて具体的なメリットや企業の想いを伝えることが重要です。
3. 透明性と具体性のある情報開示と体験の提供
福利厚生の利用条件、申請方法、利用実績などをオープンにし、公平性・透明性を担保します。
可能であれば、インターンシップなどを通じて福利厚生の一部を体験できる機会を提供し、入社後のイメージを具体化させます。
4. 独自性と魅力による差別化
他社にはないユニークな福利厚生や、法定を上回る手厚いサポートは、企業の個性を際立たせ、求職者の記憶に残ります。
これにより、企業は「選ばれる企業」としてのブランドイメージを構築し、採用競争力を高めることができます。従業員は魅力的な環境で働く満足感を得られます。
自社に最適な福利厚生パッケージの設計ステップと成功事例
自社に最適な福利厚生を設計するには、従業員の多様なニーズと企業の経営戦略を両立させる視点が不可欠です。以下のステップで進めることが効果的です。
1. 現状分析と課題の明確化
既存制度の利用状況、従業員満足度、コストを把握します。
従業員アンケートやワークショップを実施し、潜在的なニーズや不満、期待を多角的に収集します。
企業の経営課題(例:採用難、離職率、生産性の低迷)と福利厚生の関連性を分析します。
2. 福利厚生の目的・コンセプト設定
福利厚生を通じて「何を達成したいのか」(例:従業員の健康増進、エンゲージメント向上、両立支援など)という目的を明確にします。
企業理念や事業特性、従業員構成を踏まえ、福利厚生全体のコンセプト(例:「挑戦を後押しする」「心身のウェルビーイングを追求する」など)を定めます。
3. 制度設計と優先順位付け
収集したニーズに基づき、具体的な制度案を複数検討します。
導入効果、コスト、公平性、運用負荷などを考慮し、優先順位を決定します。カフェテリアプランのような選択型制度の導入も有効な手段です。
4. 周知徹底と利用促進
新制度の目的、内容、利用方法を丁寧に説明し、全従業員に周知します。
利用マニュアルの整備、相談窓口の設置、利用事例の共有などを行い、活用を促します。
5. 効果測定と継続的な改善
制度導入後、利用率、満足度、関連する経営指標(離職率、採用コストなど)を定期的に測定・評価します。
従業員のフィードバックを元に、制度内容や運用方法を継続的に見直し、改善していくことがWin-Winの関係を維持する鍵となります。
成功事例に共通するポイント
成功している企業では、従業員の声を積極的に取り入れ、自社の文化や価値観を反映した独自の制度を構築しています。
また、健康経営の推進やキャリア支援、柔軟な働き方の提供といったトレンドを取り入れつつ、その効果を定期的に検証し、改善を続けている点が特徴です。