役員も加入できるYUKIN

YUKINでつくる役員退職金|経営者が押さえておくべき役員退職金の設計

中小企業の経営者にとって、自身の退職金をどう準備するかは、長く付き合うことになるテーマです。会社の業績、後継者の育成、ご自身のライフプラン、さまざまな要素を見ながら、少しずつ考えを整理していくことになります。

実際、すでに何らかの形で準備を進めていらっしゃる経営者の方は多いかと思います。代表的なところでは、経営者保険(長期平準定期保険・逓増定期保険など)、小規模企業共済、あるいは法人での内部留保といった手段が広く使われてきました。

これらの手段にはそれぞれ特性があり、長らく中小企業経営者の退職金準備を支えてきた実績があります。

一方で、近年の税制改正(保険の損金算入ルールの見直し等)や、小規模企業共済の月7万円という拠出上限など、運用面で見直しが必要になっている領域もあります。

役員退職金の本質的な課題は、突き詰めれば「事前に、計画的に、平準化して、原資を確保するか」にあります。退任時にまとめて準備しようとすると、資金繰りの面でも税務の面でも、無理が出やすいテーマだからです。

このニーズに対する選択肢の一つとして、近年注目されているのがYUKINつみたてDBプランです。

本記事では、なぜ計画的な積立が役員退職金の準備に向いているのか、そしてYUKINが役員にとってどう活用できる制度なのかを整理していきます。

なぜ「事前に・計画的に」積み立てるべきなのか

役員退職金を計画的に積み立てるべき理由は、2つあります。

1. キャッシュフローの平準化

毎月の積立であれば、「現役時代の費用」として平準的に処理できます。退任年度の単年度損益にも、退任年度のキャッシュにも、過度な負担をかけずに済むため、会社の財務にとっても、退任年度の利益計画にとっても、はるかに健全な姿といえます。

業績変動の大きい中小企業ほど、退任年度のキャッシュアウトを分散させておくメリットは大きくなります。

2. 「不相当に高額」のリスク回避

役員退職金は、税務上「適正な額」までしか損金算入が認められません。「不相当に高額」と判断された部分は損金不算入となり、会社側で法人税の課税対象になるだけでなく、加算税が課されるケースもあります。

実務上、適正額の算定には功績倍率法が広く使われます。

役員退職金の適正額 = 最終報酬月額 × 役員在任年数 × 功績倍率

社長であれば功績倍率3.0が広く採用されており、たとえば最終報酬月額100万円・在任20年・功績倍率3.0の社長の場合、100万円 × 20年 × 3.0 = 6,000万円が適正額の目安となります。

過去の裁判例から、税務調査で「不相当に高額」と判断されやすいパターンは概ね2つです。

  1. 退任直前に役員報酬を極端に増額している
  2. 功績倍率が極端に大きい(功労加算等を上乗せして倍率を吊り上げているなど)

問題となりやすいのは、会社の不動産売却益や法人契約の保険金満期などで大きな収入が発生したタイミングで、それに合わせて退職金額を逆算的に組み立てているケースです。「節税のために、退任時に帳尻を合わせる」という発想は、税務調査で必ずと言っていいほど指摘されます。

一方、計画的に積み立てる方式であれば、現役時代を通じて安定した役員報酬を維持しながら、退職金原資を確保できます。退任直前に何かを「調整する」必要がない構造そのものが、税務上の安全性を高めてくれます。

事業承継の観点からも、これは重要なポイントです。後継者にバトンタッチした後も相談役として残る場合、安易に役員報酬を減額すると、完全引退時に十分な退職金を支給できなくなるリスクがあります。現役時代に積み立てておけば、報酬水準の変動に左右されずに退職金原資を確保できます

出典:No.5208 役員の退職金の損金算入時期(国税庁)

YUKINは厚生年金被保険者であれば、役員も加入できる

YUKINは、厚生年金被保険者であれば、立場を問わず加入できます

役員であっても、厚生年金に加入していれば、従業員と同じ条件でYUKINの加入者となれます。

この公平性は、社内への説明のしやすさにもつながります。「社長だけが特別な制度に入っている」のではなく、「全員が同じ制度を使っている」状態がつくれるため、福利厚生の制度設計として、これは大きな意味を持ちます。

役員がYUKINを活用する4つのメリット

メリット1:掛金は全額損金算入できる

会社が拠出するYUKINの掛金は、役員分も含めて全額損金として算入できます。月々の処理は「福利厚生費」として費用計上するだけで、税務上の処理は極めてシンプルです。

ここでよく比較されるのが、「役員報酬を高く設定して、個人で貯蓄する」という選択肢です。たとえば、役員報酬を月100万円のところを月130万円に増額し、増額分の30万円を個人で貯蓄に回すという発想。

しかしこの場合、増額分の30万円には所得税・住民税・社会保険料が課されます。

所得税率33%(課税所得900万円超〜1,800万円以下)のゾーンにいる社長であれば、住民税10%と合わせて約43%が税負担となります。さらに社会保険料を加えれば、実際に手元に残るのは半額程度の15万円前後です。

一方、同じ30万円をYUKINの掛金として会社から拠出すれば、会社側では全額損金算入され、個人側でも給与所得として課税されません

退職時に退職所得として受け取ることになるため、現役時代の高い税率での課税を回避できます。

これこそが、選択制DBを役員が活用する最大の意義です。

メリット2:退職所得控除で、受取時の税負担を大幅に圧縮できる

YUKINで積み立てた資産は、退職時に退職所得として受け取ります。給与所得や事業所得と比べて、退職所得は税制上きわめて優遇されています。

退職所得控除の計算式は以下の通りです。

勤続年数20年以下:40万円 × 勤続年数(最低80万円)

勤続年数20年超:800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)

たとえば30年加入した場合の退職所得控除は、

800万円 + 70万円 × 10年 = 1,500万円となります。

さらに、控除を超えた部分も「2分の1課税」が適用されます。

具体的な数値で見てみましょう。

役員報酬月100万円の社長が、月20万円をYUKINで30年間積み立てたケースです。

  • 積立元本:20万円 × 12ヶ月 × 30年 = 7,200万円
  • 退職所得控除:1,500万円
  • 控除超過額:7,200万円 − 1,500万円 = 5,700万円
  • 課税対象(1/2課税後):2,850万円
  • 所得税・住民税合計:約1,163万円(概算)
  • 手取り:約6,037万円

一方、同じ7,200万円を役員報酬として上乗せで受け取った場合、所得税・住民税・社会保険料を合わせて約3,000万円が天引きされ、7200万円分の手取りは、4200万円となる計算です。

つまり。退職所得として受け取ることで、1,500万〜2,000万円規模の手取り差が生まれる可能性があります。

加入年数が長いほど控除額が拡大する設計のため、「早く始めて、長く続ける」ほど有利になります。これは役員にとっても従業員にとっても共通する原則です。

出典:No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)(国税庁)

メリット3:元本保証で、経営に集中できる

YUKINの運用は、生命保険会社の一般勘定100%で運用される元本保証型です。市場の変動リスクを受けないため、相場の上下に一喜一憂する必要がありません。

経営者にとって、退職金の準備は「重要だが緊急ではない」テーマです。

日々の経営判断や資金繰り、人材マネジメントといった目先の課題に追われる中で、運用商品の選定やリバランスにまで意識を割く余裕はない、というのが多くの社長の本音ではないでしょうか。

「ほったらかしでも、着実に積み上がっていく」

この特性は、運用に時間と労力をかけたくない経営者にとって、想像以上に大きな価値を持ちます。

メリット4:給与の20%まで、大きな金額を積み立てられる

YUKINの拠出限度額は給与の20%(最大月30万円)です。中退共やiDeCoと比較しても、桁違いの積立枠が確保されています。

役員報酬が高い経営者ほど、この上限の広さが活きてきます。たとえば役員報酬が月150万円であれば、最大月30万円までYUKINに拠出可能です。年額にすると360万円、10年で3,600万円、20年で7,200万円の積立規模になります。

注意すべきポイント

役員のみの会社では導入できない

YUKINは、確定給付企業年金法に基づく企業年金制度であり、従業員のための制度です。そのため、役員のみで構成される会社では原則として導入できません。従業員が在籍していることが導入の前提となります。

ただし、グループ会社に従業員が在籍している場合は、グループ会社として導入できるケースもあります。「社長一人の会社だから無理」と即断せず、まずはステラパートナーまでご相談ください。導入要件の詳細は、YUKINつみたてDBプランの導入要件をご参照ください。

社会保障給付への影響を理解しておく

選択制DBの仕組み上、YUKINに積み立てた分は給与支給額から差し引かれます。これに伴い、社会保険料の算定基礎となる標準報酬月額も低下します。

標準報酬月額が下がることのメリットは、毎月の社会保険料負担が軽減される点です。

一方、デメリットとして、将来受け取る老齢厚生年金等の給付額が減少する可能性があります。(役員の場合、役員報酬が高額で上限に達している場合、デメリットが発生しないこともあります。)

毎月の節税・社会保険料軽減効果と、将来の給付減少のバランスをどう評価するか。

ここは加入時にしっかり試算しておきたいポイントです。一般的には、自分で運用・積立をコントロールできるYUKINの方が有利になるケースが多いものの、個別の状況によって判断は変わります。

退職金規程との整合性を確保する

役員退職金は、株主総会の決議と退職金規程等に基づいて支給されます。YUKINで積み立てた資産を役員退職金として支給するには、規程上の位置づけを整理しておく必要があります。

「会社からの退職金」と「YUKINからの給付」をどう接続するか、このあたりは導入時に専門家と一緒に設計する領域です。ステラパートナーでは、規程整備のサポートも一貫して提供しています。

役員がYUKINに加入するまでの流れ

ステップ1:会社としての導入から始める

役員が個人でYUKINに加入することはできません。

あくまで会社がYUKINを導入し、そのうえで役員自身が加入者として申し込む流れになります。

まずは、会社として導入する必要があります。

ステップ2:賃金規程・退職金規程の整備

YUKINの導入には、賃金規程の改定が必要となります。

選択制の仕組み「給与の一部をYUKINに振り替えるか、現金で受け取るか、加入者本人が選択できる」という構造を規程に落とし込む作業が発生します。

社内のリソースだけで規程改定を進めるのは負担が大きいですが、ステラパートナーが規程のひな型提供から条文の作り込みまでサポートします。

ステップ3:掛金の設定と積立開始

規程整備が完了したら、役員自身の掛金額を設定します。掛金は1,000円単位で設定可能、給与(役員報酬)の20%(上限月30万円)が上限です。

役員報酬の改定タイミング(事業年度開始から3ヶ月以内)に合わせて掛金を見直していくのが、実務上の運用イメージとなります。


まとめ:YUKINで役員退職金を構築し、役員と会社双方にメリットを生む

役員退職金の本質的な課題は、「いかに事前に・計画的に・平準化して原資を確保するか」にあります。退任時にまとめて支払う発想は、資金繰りの観点でも、税務上の観点でも、現実的な選択肢ではありません。

毎月の積立による平準化は、キャッシュフローの安定と税務リスクの構造的回避という2つの効果を同時にもたらします。

掛金は、全額損金算入。

受取時には、退職所得控除。

運用は、おまかせ元本保証。

YUKINつみたてDBプランは、役員退職金の手段として非常に合理的な選択肢です。

さらに、厚生年金被保険者であれば役員も従業員と同じ枠組みで加入できるため、「経営者の退職金準備」と「従業員の福利厚生整備」を一本化でき、実務上でも大きなメリットとなります。

導入の検討から規程整備、掛金設計、事業承継スケジュールとの擦り合わせまで、ステラパートナーが伴走します。まずは自社のケースで、どれくらいの積立効果が見込めるか、具体的な数値で確認するところから始めてみてはいかがでしょうか。

YUKINの全容はこちら⇩

YUKINつみたてDBプラン

YUKINつみたてDBプラン

会社の掛金負担ゼロで導入できる、中小企業向けの選択制退職金制度です。社会保険料の削減効果もあり、企業・従業員の双方にメリットがあります。

よくあるご質問

  • 役員1人だけの会社でもYUKINに加入できますか?

    役員のみで構成される会社では、YUKINを導入することができません。
    確定給付企業年金法に基づく企業年金制度のため、従業員が在籍していることが導入の前提となります。
    ただし、グループ会社に従業員が在籍している場合は、グループ会社単位での導入が検討できるケースもあります。
    「自社単独では難しい」と即断せず、まずはステラパートナーまでご相談ください。

  • 経営者保険や小規模企業共済を活用しています。YUKINと併用できますか?

    併用可能です。それぞれの制度には異なる特性があり、組み合わせて活用することで、退職金原資をより厚く・柔軟に確保できます。
    たとえば、小規模企業共済は月7万円という拠出上限があるため、それを超える積立規模を確保したい場合にYUKINが選択肢となります。
    経営者保険についても、近年の損金算入ルールの見直しを踏まえ、YUKINと役割分担をする形で再構成される事例が増えています。
    最適な組み合わせは、役員報酬の水準・在任年数・退任予定時期によって変わるため、個別にシミュレーションするのが現実的です。

  • 役員報酬の改定で掛金額を変更したい場合、どうすればよいですか?

    役員報酬は、原則として事業年度開始から3ヶ月以内に決定する必要があります。
    このタイミングに合わせて、YUKINの掛金額も見直すのが実務上の運用イメージです。

    掛金は1,000円単位で設定可能で、給与(役員報酬)の20%(上限月30万円)が上限です。
    報酬改定に合わせて掛金を増減させることで、税務上の整合性を保ちながら積立計画を調整できます。

  • 退任時、YUKINで積み立てた資産はどのように受け取れますか?

    退任時の受け取り方法は、一時金・5年確定年金(加入期間20年以上の場合)から選択できます。
    一時金として受け取る場合は退職所得、年金として受け取る場合は雑所得(公的年金等控除の対象)として課税されます。
    役員退職金の規模・他の退職所得との合算・退任後の所得計画に応じて、最適な受け取り方を選ぶことができます。

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